神話の国の美人の湯
島根県は出雲空港から車で5分、三方を山で囲まれた閑静な地に涌く源泉掛け流しの温泉です。湯の川温泉は和歌山県龍神温泉、群馬県川中温泉と並んで日本三美人の湯として女性に人気の温泉です。
太古の悲恋を秘めた山あいのいで湯
「火の山の ふもとの湯こそ 恋しけれ身をこがしても 妻とならめや」
神代の昔、出雲からやってきた大国の主命と恋に落ちた稲羽の国(八上姫)は、命にスセリヒメというおきさきがあることを知らず、出雲の国に帰られた命を慕ってはるばる旅に出られました。かよわい足取りで厳しい旅を続けられ、出雲の入り海(宍道湖)を船で進まれた八上姫は、南の山の谷あいに湯気を立ち上がっているのをご覧になりました。湯の泉があるに違いないと近づいてみると、そこには岩の間からこんこんと湯が湧き出ているのです。旅の疲れをその温泉でいやされた八上姫は心身共にお元気になられ、いっそう美しい美人神になられたと伝えられます。冒頭の歌は、稲羽の国にお帰りになるとき、ふたたび湯の川温泉に立ち寄られた八上姫のお歌です。
- 源泉名
- 湯の川温泉
- 泉温
- 50.2度
- 湧出量
- 413L/min
- 泉質
- ナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉・知覚的試験:微白濁無臭・H2S・PH値:8.40・ラドン(Rn)含有量:8.95×10CI/kg・密度:1.00077(4℃)・蒸発残留物:1.761g/kg(110℃)
- 適応症
- 神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・打ち身・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進・きりきず・やけど慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病・動脈硬化症
龍神温泉は、その昔、役の行者小角が発見しました。後に弘法大師が難陀龍王の夢のお告げによって浴湯を開いたことから龍神温泉の名がついたと伝えられ、以来1,200年の歴史を持つ温泉です。また徳川時代には、紀州の殿様徳川川瀬宣公がこの温泉を大変気に入られ保護されてきました。例えば浴室を設けて亥の年ごとに藩費をもって改築したり、この地に遊ぶために特別の旅館を造営させるなど、いわば紀州の殿様の別荘温泉として栄えた、永い伝統と由緒ある名泉としてしられています。